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コトノハPublicログ2001年9月

2001年9月4日 社会を護る人々の傷
2001年9月10日 外交は戦争だ
2001年9月12日 テロに関するエトセトラ
2001年9月13日 <参照文献>どうしても紹介したい文
2001年9月14日 聞き分ける姿勢
2001年9月14日 アメリカの『報復』に反対します
2001年9月14日 小泉首相の『報復支持』に反対します
2001年9月18日 強国アメリカ亡国アメリカ
2001年9月20日 日本の進む道

2001年9月4日 社会を護る人々の傷

 長い引用だけど、全文読んで欲しい。メンドイ人は、太字の部分だけでも。。。

消防隊員にも心の傷「惨事ストレス」 歌舞伎町火災

 44人が死亡した東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビル火災で、救助にあたった消防隊員らの間に放心状態などの「惨事ストレス」(CIS)が広がっている。せい惨な事故や事件の体験は、被災者・被害者だけでなく助ける側にも心の傷を残す。

 煙が押し寄せ、狭い階段を消防隊員はなかなか進めない。暗やみを投光器で照らすと、10〜20人が折り重なるように倒れ、うめき声が聞こえた。

 火災が発生した1日、東京消防庁の隊員は疲れ切った表情で語った。

 消火・救助活動が一段落した同日未明には、すすだらけの消防服姿の若い隊員が、視線の定まらない様子でふらふらと現場から消防車へ歩いていた。

 同庁によると、1日、火災現場に出動した救急・消防隊員の3人に1人、約120人が、3日までに「惨事ストレス」の症状を感じていたという。

 内容は公表されていないが、関係者によると、「しばらく放心状態に陥った人もいる」という。多くの遺体がある現場に入って、においや被害者の声が体に刻み込まれ、その記憶がしばらくの間消えず、食事がとれない、眠れない、助けを求める人が夢に現れる、などの症状が続くという。

 ベテラン職員によると、隊員は日常的にストレスを感じている。災害出動を拒否できない。社会からは「頼もしい」という目で見られ、職場でも「弱音を吐くな」と言われる。逃げ遅れた人を助けられなかったときは「申し訳ない。力が及ばずに悔しい」と悩み抜く。犠牲者の出た現場に花束を供えるのは、そのためだという。


 今回は小さな焼失面積にもかかわらず、東京消防庁管内で過去最大の犠牲を出した。よりストレスは大きかったとみられる。

 今年6月8日、大阪府池田市の小学校で起きた児童殺傷事件でも、惨事ストレスは報告されている。現場に出動した救急隊員らが、「目覚めるときに現場の光景がよみがえる」「悪い夢を見た」などと訴えた。

 特に、被害者と同じ年ごろの子供を持つ30歳代の隊員に著しかったという。わが子と重ね合わせより強い精神的衝撃を受けたとみられる。


 群馬県の多野藤岡広域消防本部の茂木利美さん(39)は、今回の火災を聞き、16年前を思い出していた。520人が死んだ日航ジャンボ機の墜落現場だ。

 消防士になって4年目に、事故に遭遇。「もっと早く現場に着いていたら、助けられたかも」と悔いた。1カ月ぐらいは寝付けず、ヘリコプターの音を聞いたり、交通事故や火事の現場に向かったりする度、現場のにおいや惨状が思い出されたという。

 「惨事ストレスという言葉もない時代。同じ現場を見た者同士しかわからないつらさだった」と振り返った。

 「惨事ストレス」は、きわめてせい惨な現場に出動し、生命の危険を感じることによる恐怖や職業上の重責感から生じるとされる。日本で問題になったのは、95年の阪神大震災以降のことで、対策はようやく始まったところだ。

 東京消防庁は今回、ストレス解消のため、職員同士に体験を語り合わせるなどのプログラムを実施した。少人数のグループになり、自ら胸の内を語ることで、ストレスの解消を目指す。ベテラン職員が聞き役になった。

 大阪府池田市の児童殺傷事件でも、池田市消防本部が事件10日後から3日間、集団カウンセリングの場を持った。数カ月後に症状が現れることもあるため、継続して相談を受ける態勢を取っているという。

 自衛隊も、来年から隊員向けの本格的なメンタルヘルス(精神衛生)対策に乗り出す。「公式の報告はこれまでないが、航空機事故や自然災害で死体処理などに当たった自衛官が、ストレス障害に陥ったケースがあると聞いている。隊員に任務の限界があることを事前に分からせることが大切」と、野村総一郎・防衛医大教授は話す。

 日本でのこの分野の第一人者、中井久夫・兵庫県こころのケア研究所所長は、阪神大震災当時、神戸大学医学部教授だった。消火活動が十分にできなかったという消防職員や、避難所になった学校校長に症状が見られ、心のケアに力を入れた。

 「職業だから当たり前という意識もあって、救援活動自体がストレスになるということは見過ごされがちだった」

 米国ロサンゼルスなどでは、現場から帰ってきた消防隊員は心残りや無念さを打ち明けあい、最終的に「ベストを尽くした」というところまで持っていく「デブリーフィング」(使命解除)と呼ばれるミーティングに参加する。そうしないと、帰宅させないマニュアルがある。中井さんはこれを98年、日本に紹介した。

 「現場の興奮を家庭に持ち込まないという考え方だ。ストレスの耐性には個人差があり、長期的には組織に内密で個人がケアを受けられる体制を整えることが必要」と話している。

 ◆惨事ストレス(CIS=Critical Incident Stress) 大規模災害や悲惨な事件現場で活動した消防隊員や救急隊員が、被災者や被害者と同じような心理的衝撃を受け、睡眠障害や集中力の低下などのストレス反応を起こすこと。

asahi.comより全文>

 上の記事さえ読んでもらえれば、ワシの書くべきことは別にないんだけど、一応、取りとめない駄文。つぅか、何て書けば良いかよく分からないけど、一応書いとく。

と思って一旦は書いたんだけど、やっぱり余りにもヒドイ文章なので削除。内容がヒドイんでなく、文章としての体を為してないのさ・・・・・・。

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2001年9月10日 外交は戦争だ

田中外相「おわびの気持ちを再確認」 講和・安保50周年で

サンフランシスコ――サンフランシスコ講和条約と日米安保条約の調印50周年記念式典が8日(日本時間9日)、50年前の調印の舞台だったサンフランシスコ市内で開かれた。式典に出席した田中真紀子外相はあいさつで、日本の戦争責任に触れ、「痛切な反省の意と心からのおわびの気持ちを再確認する」と、元米兵捕虜らへの謝罪を表明した。

 講和条約50年式典(北カリフォルニア日本協会主催)は、50年前の調印会場だったオペラハウスで開かれた。式典では田中外相とパウエル米国務長官が、「日米安全保障条約に基づく同盟関係がアジア太平洋地域の平和と安定の礎となっていることに誇りを持つ」と、日米両国の協力強化をうたった共同声明に署名した。

 田中外相はあいさつで日本の戦争責任に触れ、「元戦争捕虜を含む多くの人々の間にいやしがたい傷跡を残している。1995年の村山首相談話の痛切な反省の意と心からのおわびの気持ちを再確認する」と謝罪した。

 続いてパウエル長官は、日米安保体制がアジア・太平洋地域における安全保障の「碇(いかり)」だと強調。日本政府の在日米軍駐留経費負担に謝意を示し、在日米軍も沖縄などで「良き隣人」となるよう努力していく意向を表明した。

 会場の外では、米国の元捕虜や従軍慰安婦問題などに抗議する韓国人や中国人のグループが数百人集まり、日本政府の謝罪や賠償などを求めるデモを繰り広げた。

 平和条約の式典に先立ち、両政府共催の安保条約(旧安保)署名50周年記念式典もサンフランシスコ市内で行われた。

CNNより抜粋>

あるべき姿? 宮沢・シュルツ氏がミサイル防衛で激論

 米政権が進めようとするミサイル防衛計画に日本側が疑問を投げかけ、日米間で白熱の論争に−−。サンフランシスコで開かれている対日平和条約調印50年を記念するシンポジウム初日の6日の討議で、シュルツ元米国務長官と宮沢喜一元首相の間で激しい論議が戦わされた。

 日米関係を討議する会合で、宮沢氏が「ミサイル防衛のことは何も知らない」と断りながらも、「まだ実験段階であり、人々の考え方を変えるにはもっと時間と納得させる方法が必要だ」と苦言を述べた。これにシュルツ氏が「あなたは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のミサイル開発が心配ではないのか」と問いつめた。さらに宮沢氏が、「ミサイル防衛開発がうまくいくという証拠が必要だ」と切り返すと、「証拠が出るまで待ちたくない。北朝鮮のミサイルがロサンゼルスに届くまで待てというのか」とも。

 旧知の間柄だけに、論争はそこで打ち止めになったが、シュルツ氏は「日米両国政府はこういう意見のやりとりをすべきだ」と結んだ。米国のミサイル防衛研究に日本が「理解する」と答えるだけの政府間対話よりも、はるかに説得力あるやりとりで、聴衆も大いに盛り上がった。(20:01)

asahi.comより抜粋>

 老害、と称してはばからなかった宮沢喜一代議士への評価を、今回ばかりは改めようと思う。これぞ、政治家としての年の功、そして議論を裏付ける語学力と言うところだろう。

 対して、現職の外務大臣である田中真紀子代議士への、外交への評価はこれでまた下がった。謝罪外交などという代物が、いかに外交の舞台で嘲笑される手法か、未だに理解できないようだ。

 この二つの記事は、同じ一連の会議での出来事である。

 さて、どちらが国際社会で舐められることの無い、誇りある真っ当な外交か、といえば、間違い無くシンポジウムでの宮沢代議士の言動だ。しかし、残念なことに日本の外務大臣は、謝罪外交をしている田中真紀子氏である。

 外交とは、常に戦争状態である。平時はそれが言説で行われ、非常時には兵器が用いられる、という差があるに過ぎない。

 日本という国は、伝統的に外交が下手である。作家の井沢元彦氏は「『和を以って尊しと為す』と唱えた聖徳太子の時代から変わっていない」と言う。まさに日本の外交の姿勢は『和を以って尊しと為す』である。争うことを好まない。

 それ自体は誇るべき国民性かも知れない。あるいは、外交と呼べるものが、狭いコミュニティ、類似した文化圏で完結していた近世以前であれば、それで良かったのかも知れない。しかし今は、あらゆる情報が一日で世界中の全人民の知ることが出来る、情報化社会である。

 外交では、どこの国も汚い手段を使ってくる。それを非難する国も、同じ事をしている。そうしながら、自国の国益に適う結果を引き出すため、まさに戦争状態とも形容すべき議論・交渉が行われているわけだ。もちろん、交渉の場では一国を代表する外務大臣の議論、交渉能力は非常に高度なものが求められる。

 転じて日本はどうだろうか。謝罪外交追随外交対処外交ばかりである。外交で最も大切な『自分たちで場を設定する』すなわちイニシアティブを取る、ってことがド下手。戦略的なビジョンに欠けているせいだ。最近の日本の外交できちんとした成果と言えば、京都議定書を巡る川口環境大臣の活躍ぐらいだろうか。この件だって、総理、外相レベルでは手間取っていたなかで、環境相の手腕が際立っていた。

 日本人大衆は、日本に対しデモをする人、非難の声を上げている『相手国の人』を見ると、思考停止に陥る人が多いようだ。そういう国民性に支えられ、支持されている外務大臣では、この外交スタイルになるのは必定の理かも知れない。その日本の外交スタイルは、諸外国から見れば付け入り易い、手応えの無いものだろう。

 宮沢代議士と議論を交わしたシュルツ氏の言葉「日米両国政府はこういう意見のやりとりをすべきだ」。これは、シンポジウム、事務級会議に限らず、トップたる大臣級会談でも、当然すべき事柄であるはずだ。さて、それでも田中氏は、今のような外交スタイルを続けるつもりなのだろうか? 国民はその姿勢も、監視し、意見をぶつけるべきだろう。

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2001年9月12日 テロに関するエトセトラ

日本国内の米軍施設や米国人を狙ったテロ攻撃の恐れ=米大使館
 [東京 7日 ロイター] 在日米大使館は、日本国内の米軍施設または米軍関係者が多い場所が攻撃される恐れがあるとする未確認情報を受け取ったとして、在日米国人に対して警告を発した。
 大使館の警告には、「テロ行為」が行われる恐れがあると書かれている。
 米大使館スポークスマンはロイター通信に対し、大使館が攻撃があり得るとする「確かな情報」を受けたとし、日本国内の米国人に可能な限り警告を伝えていると述べた。

Yahoo!ニュースより抜粋>

 これが先週末のニュース。そして。。。

米首都・NY同時にテロ 乗っ取り機突っ込む 国防総省炎上
 米ニューヨークの超高層ツインビル「世界貿易センター」(一一〇階建て)に十一日午前九時(日本時間十一日午後十時)ごろ、航空機二機が突っ込んで炎上し、二棟とも崩落。少なくとも六人が死亡、数千人が負傷した。同ビルでは約五万人が働いており、多数の死傷者がいるとみられる。
 二機はハイジャックされたアメリカン航空機で、同航空は「二機には乗員乗客計百五十六人が乗っていた」と述べた。同午前十時(同午後十一時)前、ワシントンの国防総省にも三機目が突っ込み炎上、連邦議会や財務省も炎上した。ユナイテッド航空はペンシルベニア州ピッツバーグ近郊で同航空機が墜落、もう一機墜落したことを確認。二機には計百十人が乗っていたとされ、同時多発テロとみられる。
 パレスチナ解放民主戦線(DFLP)が犯行声明を発表したが、同高官はこれを否定した。ブッシュ米大統領は「われわれの国家に対する明白なテロ攻撃だ」と非難した。

Yahoo!ニュースより抜粋>

 資本主義の象徴が崩壊した。世界の保安官が奇襲を受けた。

 追突する飛行機、落ちる人、崩壊する超高層ビル、燃え上がる国防総省、そして、大統領演説。今でも、思わず映画では無いかと思ってしまう平和ボケ日本人なワケだが、下手な映画をはるかに上回る事態であり、なにより現実だ。

 情報も未だ錯綜し、様々な映像が報道され、犯人も確定までは至っていない、まだまだ全然全貌が見えない現状だけど、昨夜からずっと報道を見つづけて思ったことを、箇条に書き連ねてみようと思う。箇条なので、各パラグラフにとりとめは無いっす。
 ただ、いろいろ自分なりの考えを連ねる前に大前提としていっておきたいのが、ワシはテロリズムは絶対に否定するし、いかなる理由があろうとも今回の事件は許されるものではないし、犯人及びその組織は然るべき裁き(この場合は国際法に基づくことになるのだろうか)を受けるのは当然の理である、ってこと。
 今回犠牲になったすべての人々に哀悼を申し上げます。

 喜ぶパレスチナ難民の映像が報道されたが、実はこの映像、昔のものを使ったのではないかとちょっと思っている。アノ映像は、アメリカの放送局のもののようだが、イメージ操作のために流した、ってことも充分に考えられる。中東でアメリカが行動を起こそうとする前、このような映像が流された前科もあるらしい(ごめんなさい裏取りしてません)。
 まぁ、これはさすがに陰謀論かも知れない。でも、仮にホントに喜んでいたとしても不思議ではないし、非難にあたうかと云えば、一概にそうも言えない。そもそも、彼らは限定的な情報しか知らないはずだ。『傍若無人なアメリカが攻撃を受けた』という彼らの認識からいえば、喜ぶのもわかる。
 それに、例えとして適切かは分からんが、湾岸戦争でミサイルがイラクの建物に命中すると、アメリカ国民は歓声を上げていた。その建物が、軍事施設に限らず、民間人の多数いる施設であることも、後々の報道で分かっている。
 結局は、自らの『敵』を何と認識するか、である。そしてそれは、主観的なものであることを明記しなければならない。

 ワシは別に、今回の事件で『アメリカ』と『加害者』を相対化させる気は無い。だが、アメリカ、というか欧米の視点だけに立って論ずる危うさを指摘する。一方的な『悪』『敵』ってものは存在しないってこと。日本にいると、どうしても欧米の視点になる。それは、その情報が多く入ってくるからでもあり、日本と云う国が欧米よりだからでもあり、極論をするなら、欧米の視点でしかメディアが報道していない故に国民もそっちしか見られないからだ。

 イギリスのブレア首相&エリザベス女王、フランスのシラク大統領などは、すぐに自ら、アメリカに、世界に向けてコメントを発していた。しかし、小泉首相は、自らコメントを発しなかった。アメリカにコメントを送りはしたが、マスコミに対しては官房長官を通じた談話だけだった。これは、首相の外交音痴を証明する出来事だ。どんな問題だらけのものであろうとも、日本はアメリカの同盟国であり、安保条約を締結している国である。今回のテロに対して、記者会見で、ハッキリと非難を示さなければいけない立場だったはずだ。首相自らの記者会見は、事件発生から12時間後。これはさすがにがっかりさせられた。

 日経平均が一万円を割った。
 今回のテロが、株価の下がるのを誤魔化そうとした小泉総理のジサクジエン(・∀・)イイ!というのには、不謹慎ながら苦笑してしまったが。
 経済への影響は計り知れないだろう。早速、世界同時株安、そして石油価格の高騰が起こっている。こんな形での世界恐慌が起こるとは、おそらく誰も予測していなかったと思う。これに効く一番の特効薬は、早急な犯人の特定と、ニューヨーク株式市場の回復だが、ウォール街で失われた人的、物的資源は余りにも大きい。まさに先行き不明というのがここまで当てはまる事例も珍しい。

 さて、今回のことで戦争になるか、というと、ならないと思う。起こるとしたら、戦争ではなく、アメリカによる一方的な攻撃だろう。  戦争、っていうのは、国対国(あるいは地域)で行われる、外交の一手段である。今回、多くの国、地域が非難声明を表しているし、テロ支援国家、とアメリカに認定されているシリア、リビアなども、裏での手引きはともかく、表立つことは無いだろう。そうすると、どこかの一組織であれば、それはアメリカの敵ではない。敢えて言うなら、そこで起こるのは、湾岸戦争と同じ一方的な殺戮だ。

 ワシが分からないのは、そこまで分かっていて、今回のテロは行われたのだろうか?ということ。テロである以上、犯人はいるはずだが、その目的、アメリカへの怨嗟、アメリカ社会の混乱と言った目先の目的ではなく、最終目的が見えてこない。現在の少ない情報からは、それを妄想することは出来ても予測することは困難だ。

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2001年9月13日 <参照文献>どうしても紹介したい文

なんとも、すごい時にアメリカに来たものだ。
不運だと考えてもしかたがないので、
できるだけ、シアトルにいてできる「ほぼ日」の仕事を
やることにしようと思う。
なにができるのかは、わからないままなんだけれどね。
たくさんのメールや、他のサイトを読んでいて、
なんとなく思ったことを書いてみる。
反対の意見もあるだろうけれど、ぼくの考えだ。
冷血なわけでもないけれど、そう思われるかもしれない。
ごくふつうに日本で生活している人にとって、
この事件について「より詳しく知る」ことや、
「より当たる予言をする」ことなどは、
ほとんど意味がないのではないかと思う。
みんながみんな世界一大きなニュースについて、
眉をひそめて語り合うことはない。
悲しい出来事であるのは確かだけれど、
その世界すべてに自分は関与できないのだから、
いま何をするのがいいのか、よく考えてみよう。
魚屋は、いい魚を仕入れて売り、
タクシーは事故のないようにお客を送り届ける。
自分のこどもがぜんそくで苦しんでいたら、
すぐに病院に連れていこう。
1年生は、今日憶える漢字を憶え、
恋人は、恋をしなさい。
当事者や関係者は、
それができないから当事者なのであり、不幸なのだ。
みんながみんな当事者であるはずはないし、
誰もがジャーナリストになる必要なんかはない。
悲しみを感じられないなら、悲しまなくていいし、
悲しんでいることをことさらに言うこともない。
今日も隣人のために誠実に魚を売ろう。
今日も、愛する人にキスをしよう。

ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリンより全文>

10:48 PM 13/September/2001

 おはようです。心の悲しみのような空色。二三日前、台風が去ったあと、幾層にもなった黄金色が空を彩った夕焼けが忘れられません。友人のHPにもそのことが書いてあって、ああ、あの空を一緒に見ていたんだなと嬉しく思いました。連絡がとれないNYに暮らす友人はどうしてるのでしょうか。まさかと思いますが、せめて安否が知りたいです。そして、あのビルのすぐ近く、大好きな中古カメラ屋で毎日昼寝をしていた犬。気持ちいい海風に吹かれながら友人といろんなことをハナシながら歩いた公園....。悲しみは尽きません。人間の力は恐ろしいです。あんなことが出来るのだから。これからどうするのか。暴力には暴力で抑えこむのか。犯人を見つけて報復したって何も解決しないことは、過去の過ちをかえりみれば、わかるはず。それだけはやめてもらいたい。もし神様がいるなら、それだけは止めてもらいたい。戦争という殺し合いは止めてもらいたい。日本政府がそれに支持すると声明を出した時、信じられなかった。自分の家族や恋人、友人がいなくなることを忘れてしまったのか。国内でなければ関係ないのか。今、日本がアメリカに進言するべきことは「報復では何も解決しない」ということ。「報復には支持できない」ときっぱり言うべきである。自分さえよければいい、自分が生きている間だけ良ければいい、という考えではなく、これから先の未来のことを考えてもらいたい。今、ぼくの中では未来という光が消えようとしている。そんな気持ちです。god bless you!

(松浦弥太郎)

M&COMPANY. TRAVELING BOOKSELLERS Prefaceより全文>

第576回

ほぼ日編集部樣

9月12日のニュースから

史上最悪のテロ行為。
確かにこれ以上の酷たらしい、
非人道的な行為はないだろう。
それは間違いなくそう言える。
私はこうした
人命を軽軽しくもてあそぶ行為に嫌悪を感じる。
憎む。
これをやったとされている、イスラム原理主義者、
オサマ・ビン・ラディン氏について
もっと詳しく知りたい。
なにゆえ彼はテロ行為を正当化できるのか?
でもただ一つ言いたい。
アメリカは湾岸戦争の時
平気で一般市民のいるバクダッドのビルに
ミサイルを撃ち込み市民を殺傷したのではなかったのか。
ユーゴではどうだったか。
ベトナムでは何をやったのか。
そして日本の広島と長崎に原爆を落とし、
非戦闘員の老若男女を数十万の単位で
一瞬で殺害したのは誰なのか?
もちろんだからといってその以前に
日本軍がアジアで行なった行為が
正当化されることはないが・・・・・
これから始まるアメリカの報復がどうなるのか?
これは戦争なのか?
アメリカの正義というのは何か?
少し冷静になって考えてみたい・・・・・・・・

今日はここまで・・・少し疲れましたよ・・・・
あまりに激しい映像を見続けて・・・・・
また明日・・・・

ほぼ日刊イトイ新聞 鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」より全文>

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2001年9月14日 聞き分ける姿勢

 やっと落ちついてモノを見られるようになってきた。

 掲示板でも書いたけど。

 衝突、崩壊、炎上、窓から助けを求める人、窓から飛び降りる人。そんな映像を、繰り返し、繰り返し、見ていると、だんだん自分の感覚が麻痺してくるのを感じる。昔オウム真理教なるカルト教団で、繰り返しビデオを見せるという洗脳方法があったらしいが、まさにそんな気分だ

 11日夜、ニュースステーションで第一報を聞いてから、13日の夕方出掛けるまで、ワシの枕もとのテレビは点きっぱなしだった。仕事中も、寝ているときも。常に、いつ新しい情報が入るかと思い、テレビをザッピングした。情報中毒(Informational Horic?)と言って良い症状だったかもしれない。何回も何回も、同じ映像を見ては心を痛めていた。心を痛めることが、常習化してしまった。

 だから、アメリカが報復宣言をしたときも、至極当然のことと思っていた。犯人とその周囲についての包囲網が異例の早さで埋められていくのも、多少の違和感は感じつつも、アメリカの捜査組織が力を入れているんだなぁ、くらいに思っていた。情報統制は当然行われていただろうが、せいぜい「ペンシルバニアに落ちた飛行機は、ホントは戦闘機に撃墜されたけどまだ言えないんだろうなぁ」くらいのものだった(口調が不謹慎なのはご寛恕ください)。

 でも、ねとを廻って、テロに対する色んな角度の意見を読んだ。また、今回の事件に対している『日本人』って存在に対する文章を読んだ。やっと、冷静な頭が戻ってきた気がする。

 上で紹介している糸井重里氏、松浦弥太郎氏、鳥越俊太郎氏の文章は、どちらかと言えば今回の事件に対する『日本人』という存在を考えさせられる文章だ。

 ワシは、決してこれらの意見に同調するわけでは無い。むしろ、異論も多い。ただ、今回の事件を判断するに、これらの意見の『視点』は、非常に重要と考えた。だから、紹介した。

 人の耳が二つに分かれているのは、物事を聞き分けるためだ、と教わった。片方の耳からだけ意見を仕入れるのではなく、もう片方の耳から入ってくる意見にも耳を傾けよ。すなわち、異論であっても様々な意見を聞け、と言うことだ。もちろん、科学的な論拠のある話しではない。伝承のようなものだ。でも、この姿勢は、思考し意見を作るに当たって、とても重要なものだというのは、今更いうまでも無い。

 とにかくワシは冷静さを取り戻した。その上で、ワシは「より詳しく知り」「より当たる予言を考え」ようと思う。そうすることは、しょせん自己満足の興味本位かもしれないが、自分自身の単純な欲求、「知りたい」「考えたい」と思う心を満たす

 そのことに気付かせてくれた、偉大な文章書きの方々に感謝!

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2001年9月14日 アメリカの『報復』に反対します

 非常にコワイ流れを感じる。

 厳戒体制の続くアメリカ、D.C.始め各地には緊張感が漂い、米メディアも特番続き、国民の86%が軍事的な報復を支持し、議会は超党して大統領の報復行動を支援するという。

 そしてその大統領は言明した。「これは新しい形の戦争であり」「21世紀最初の戦争となる」「善と悪との戦いである。そして、善であるアメリカは必ず勝つ」

 ワシはやはりここではっきり言っておこう。これは、戦争にしてはいけない。日本は、報復を支持してはいけない。自らを善と呼び、21世紀最初の戦争と息巻くブッシュ大統領及びアメリカという権力は、やはりなんらかの熱に冒されているとしか思えない

 もちろん、単純に『熱に冒されている』なんて言葉でくくれるとはまったく思ってない。この裏には、石油資源、軍需産業、新しい世紀の世界の覇権、などなど・・・・・・のキーワードが存在することは百も承知だけど、敢えてここでは話しを単純にしたい。


 冷徹に考えて欲しい。そもそもこの事件は、アメリカが他国に侵略を受けたわけでは無い。ましてや、自由と民主主義に対する挑戦ではない。挑戦を受けた対象は自由や民主主義という【概念】ではなくあくまで「アメリカ」という【一国家】であるし、【侵略】ではなくアメリカ国内における【刑事事件】である。

 正直な話し、捜査から犯人の特定までのプロセスに、どうにも恣意的なものを感じてならない。日本にいると、特にテレビを見ているだけだと、アメリカの国家機関、捜査機関、マスゴミによる【大本営発表】しか入ってこないから、余計にそんな印象が残る。今のところ、日本のマスゴミで、独自に検証するメディアは無い(それはそれで大きな問題なのだが、それは別の機会に置くとする)。まぁ、ねとで情報を集めていれば、多少はマシだが。

 ワシも、過去の事例から考えても、イスラム原理主義者といわれるビン・ラディン氏の一味による犯行である可能性は大きいと、事件の発生当初から思ってはいた。だが、アメリカのやり方を見ていると、まず始めにビン・ラディンという犯人を用意して、それに向けての足場固め、という、本末転倒といってもいい方法がまかり通っている。それを許しているのは、圧倒的な【世論】である。つまり、国民一人一人である。これは、まさに『熱に冒された』状態だと思う。

 仮にこれが、アメリカの用意しているシナリオ通り、イスラム原理主義者による犯行だったとしよう(その可能性はとても大きいけど)。だとしたら、この問題は昨日今日出てきた問題ではなく、第二次世界大戦後から続くアメリカ・イスラエル対アラブ社会の戦争の続き、果てしない報復合戦の、最新の結果だ。アメリカ・イスラエルは、アラブ社会を迫害し、戦争・紛争で多数の民間人を含め殺害しつづけてきた。対するアラブ社会も、それに報復しつづけてきた。このいわば、報復合戦の連鎖反応は、どこかで断ち切らなければ終わることは無い

 例えば。大人と子供がケンカをし意地の張り合いになった場合、どちらが先に折れるべきでしょうか? 当然、力の強い大人の側だろう。強者しか弱者の視点には立てないからだ。アメリカとアラブ社会は、純軍事的に見ただけでもその強弱は明らかだ。

 つまり、この連鎖反応を断ち切る【勇気】は、超大国であり世界の保安官を自称するアメリカの側こそが持たねばならない、ってこと。アメリカの持つべき勇気は、報復のための勇気じゃない。耐え難きを耐え、偲び難きを偲び、今回の悲劇をいなして、二度と起こらないように、原因の根本を改善する勇気

 その手段は報復ではない。軍事行動ではない。対話である。これだけの悲劇を許す懐の広さである。

 もちろん、犯人及びそのグループは、きちんとした裁きを受けねばならない。だがそれは、報復としての裁きでなく、自らの犯した人道に対する罪への裁きだ。テロリズムは、決して許される主張の手段ではない。であるからこそ、起こらないための、根幹の解決を計らなければならない。

 長い時間をかけなくてはならないだろう。国民感情的な弊害も大きいだろう。だがそれこそが、同様の悲劇を繰り返さないための最善の道であるように思えてならない。

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2001年9月14日 小泉総理の『報復支持』に反対します

小泉NO!

首相、米大統領に「支持」伝える…テロで電話会談
 小泉首相は13日夜、ブッシュ米大統領と約10分間電話で会談し、米国で起きた同時多発テロについて、「テロと断固戦うとの大統領の姿勢を支持している。必要な援助と協力を惜しまない考えだ」と述べ、できる限りの協力を行う考えを伝えた。
 大統領は「我々は21世紀の新しい形の戦争に協力して戦っていくことが重要だ」と強調した。

Yomiuri On-Lineより抜粋>

 小泉首相。。。政府専用機を用意しての救援の申し出も断られ、大統領からの協力のお声もかからず(ブッシュ大統領は、NATO加盟国や国連常任理事国などへの電話で大忙しだった)、結局自分から電話をし、しかも、頭に血が上っちゃってるらしいことを言っちゃいました。

 後に福田官房長官が、「日本には憲法がある。それに沿った形で協力するのが当然でしょう。総理の発言も、それに沿ったものだ」という主旨の発言(弁明?)をしていた。

 ワシは、基本的に小泉政権は支持していたが、今回ばかりはさすがにイカン。

 まずそもそも、何を協力するというのか。装備と練度は世界トップクラスだが、実践経験の無さと法的誓約のもと、軍事的な協力の出来ない自衛隊。先進国どころか世界でも最下クラスといわれる日本の諜報力では情報の提供も無理。そうすると、やはり経済的な協力ということになるだろうな。でも、湾岸戦争時の屈辱を考えると、それも止めておいたほうが良い。そもそも湾岸戦争時と違い、今回アメリカは挙国一致体制を敷いているので、資金的な不足はないだろうし。やはりアメリカが望む形としては、純軍事的な協力が一番なんである。

 大したことが出来ないのに、大言を吐くのは止めておいたほうが良い。新たな国辱を味わうことになる。

 第一、今日の国会答弁でも、これから、日本として出きることをケースごとに考えていく、と言う主旨のことを総理はいっていた。結局は、国防体制、(日米)同盟体制に対する議論を先送りにしてきたことが、今日の混乱を招いているわけだ。

 もちろんそれは、憲法第九条を熱狂的にあがめる社民党、共産党や、いわゆるサヨ系マスゴミの妨害によるところも大きいのだけど。

 今回のことを機に、きちんとした議論の出来る下地、世論が出来あがれば良いが、今のマスゴミの体質だと、またぞろ『軍国主義』『偏狭ナショナリズム』の復権、とか言って先送りにさせられるんだろうな〜。だって日本政府危機感無いし。

 話しがずれた。

 そんなこんなで大した協力も出来ないくせに大言を吐いたことへの批判もあるが、そもそも今回アメリカの『報復』を、ワシは支持しない。

 日本が、報復による戦争という外交手段を取ろうとしているアメリカを全面的に支持し協力する、ということが、どれだけ重い意味を持つのか、小泉総理にはもう一度考えて欲しい。そして、軽々しく言葉を発しないで欲しい。漏り総理の二の舞には、ならないで欲しい。

 じゃあ、日本に出来る協力ってナニ?というと、ワシはやはり調停役を申し出て欲しいと思う。1995年、オスロ合意による中東和平の時のノルウェーのように(結果的に反故にされてしまったが)、地味だが平和のための努力、というものを、平和憲法を持っている世界唯一の国家として、誇りを持って行動して欲しい。

 まぁ、現状で日本が調停役が勤まるとも思わないけどね。もともと日本は、『中東問題』は苦手だ。これから信頼を築き上げていくのは大変だけど、そのための努力は惜しむべきではない。そして、アメリカに対しては、その行動を諌めるべく外交努力を重ねて欲しい。


 余談になるけど。

 実は今回も、ノルウェーは独自の外交姿勢を強めている。

NATO、「集団自衛権」初の発動準備
【ブリュッセル12日=品田卓】北大西洋条約機構(NATO)は12日夜、加盟19カ国大使による理事会を開き、米国での同時テロを受けた対応策を協議、同テロを米だけではなく同盟国全体への攻撃と見なし、NATO条約第5条に基づく集団的自衛権を発動することを決めた。集団的自衛権の発動は1949年の設立以来初めて。国連に同日通知、米国の要請があれば発動する。

NIKKEI NETより全文>

 に対し、イギリスBBCの報道によると、NATO加盟国の中で、ノルウェーだけが参加を拒否した。

But just hours later, one of the alliance members - Norway - made clear that it did not want to go to war on behalf of the US.
"Norway is not in a state of war and does not want to enter a war," said Foreign Minister Thorbjoern Jagland, while acknowledging that his country was nonetheless obliged to back the US if requested to do so.

BBCニュースより抜粋>

 「『ノルウェーは現在戦争状態に無く、戦争に突入することはしない』とノルウェー外相は言いました」という主旨の記事やね。語学はトンとダメだけどそれくらいは分かるぞ(笑)。

 まだ、どのような姿勢を打ち出すかは分からないけど、ワシの予測ではオスロ合意の実績を踏まえ、それこそ紛争の調停役として水面下で立ちまわるのではないだろうか。こういうのを、独自外交と言う。外交音痴の日本の政治家に見習って欲しい。

 ところで飽きれるのは、このノルウェーの動きを、日本のマスゴミはどこも報じていない。アメリカの【大本営発表】を垂れ流すだけの日本のマスゴミじゃ、そんなものかもしれない。世界が、それぞれの国がどのような意思を持って動いているのか、それをきちんと報道することが、情報化世界のマスゴミの責務じゃないだろうか。少なくとも衝撃的な映像を、馬鹿みたいに繰り返し流しつづけることがマスゴミの責務では無いはずだ。

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2001年9月18日 強国アメリカ亡国アメリカ

米欧協調、0.5%緊急利下げ
 米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、主要短期金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%幅引き下げ、年3.0%にすると発表、即日実施した。同時多発テロ事件を受け、冷え込みが懸念される景気を下支えする必要があると判断、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、緊急利下げを決定した。利下げは今年に入って8回目。
 FRBは、同日、公定歩合も0.5%幅引き下げ、年2.5%にすると発表した。
 FRBは、ニューヨーク証券取引所が5営業日ぶりに取引を再開する直前に緊急利下げを実施することで、世界同時株安の引き金となる恐れのあるニューヨーク市場の株価暴落回避に強い意志を表明したといえる。

asahi.comより抜粋>

 グリーンスパンFRB議長、彼の神の手は一時期ほどの冴えを見せないと言われ始めてはいるが、今回のアクションは迅速で、もっとも効果的な時間(ウォール街開始(17日9時30分)の30分前)を狙って発表され、結果、アメリカの株安を700ドル安という、大きな下げ幅ながらも深刻なレベルまでもっていかずに済んだ。ウォール街の人々にとって、今回こそ彼の手が神の手に見えたんじゃないかな。織り込み済みのことではあっても、やはり効果的な演出をできるのはスゴイ。

 ちなみにこれを受け、欧州でも日本でも、協調利下げが行われた。結果、日本の公定歩合は0.1%というなんとも言えない水準まで落ちたのだけど、まぁ、欧州の分はともかく日本の利下げは世界経済には対して影響しないでしょう。これは卑屈で言っているのではなくて、ここ数年の日銀による介入は、そのほとんどが世界経済は元より日本経済にすら、さほど効果的なアクションでは無かった。つまり、最近の日本経済を見るに、日銀の介入はさしたる考慮の要素足り得ないことを示している訳で。だいたい元々ニポーンは底値だけどね。

 18日のニューヨーク株式市場の終値は前日比17ドル安という、驚くほど少ない下げ幅だった。それどころか、昼過ぎまでは前日比で値上げすらしていたのだ。明日以降の動きは以前流動的だが、この二日間の動きはアメリカの持つ力をまざまざと見せつけられた。

米航空業界への救済策検討、米大統領が指示
 ブッシュ米大統領は、同時多発テロ事件によって深刻な経営不振に陥っている米航空業界に対する救済策をまとめるよう指示した。17日、ホワイトハウスの報道官が明らかにした。旅客の回復が見込めないため、廃業に追い込まれた中小航空会社もあるほか、大手航空会社の経営危機も表面化しているためだ。

asahi.comより抜粋>

 アメリカの航空業界は、洒落にならない打撃を受けている。次々とプレスリリースされるレイオフの記事を見てもわかるが、特に驚いたのは、大手のコンチネンタル航空ですら12000人をレイオフした上で「政府の援助が無ければ10月末に破産する」と発表したことだ。まぁ、大手故に打撃がデカイってのもあるんだろうけど。

 ミネタ運輸長官(この人日系人なのよねアジア系移民初の米政府高官)などの素早いアクション、それを受けてのホワイトハウスの発表が、アメリカ航空業界を救おうとしている。17日の航空業界の株価は40%の異常な下げ幅。これを受けてのアクションによって、18日の航空会社株は買い戻しの動きとなっている。

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

 で、これらの記事から何が言いたいのか、というと、アメリカという国のもつダイナミズムの強さだ。しかもそれを、最高の演出で盛りたてる。このダイナミズムは、権力者に与えられる権限が強力が故にもたらされる。もちろんその強権力は脅威にもなり得るんだけど、それを自制させているのは『アメリカ』という矜持(プライド)だ。アメリカの権力者は、国家が危機的状況にあるならば特に、アメリカそのものになることが出来る。さらに、それを支持する、一人一人の国民が持つ『アメリカ』という矜持。

 これらの『強固なナショナリズム』から生み出されるダイナミックで迅速な権力者の動き、これこそが、アメリカが強国たる一つの所以と言えるだろう。


高まる憎悪、おびえる在米イスラム教徒 犠牲者2人に
 イスラム教徒たちに対する「憎悪」が米国内で高まっている。同時多発テロの直後から、中東や南アジア系住民への暴行や迫害が過熱し、2人が射殺された。イスラム系寺院は自警団を作り、商店は星条旗を掲げて、難を逃れようとしている。

asahi.comより抜粋>

 アメリカは、自らの手によってその精神を貶めようとしている。当然だが、今回の同時多発テロは、アメリカ人だけの被災ではなかった。

NYの不明者、48の国・地域の人々 「人種のるつぼ」
 アジア、アフリカ、欧州、ヒスパニック。同時多発テロによる行方不明者の多様な人種や職種からは、「金融エリート」の職場だけではなかった世界貿易センタービルの素顔が浮かび上がる。16日現在の死亡者は190人、行方不明者は4957人になった。AFPなどの調べによると、これまでに死亡や行方不明が確認されている人は、48の国と地域にわたる。

asahi.comより抜粋>

 この記事にあるように、アメリカという国はどんな時であっても『人種のるつぼ』なのだ。その、受け入れる姿勢、もたらされる自由、それらが、アメリカという精神の屋台骨であったはずだ。その是非はともかく、アメリカ人自らがその精神を貶めることになるイスラム人種の迫害は、一日も速く終息して欲しいと願う。

 現地時間の18日、ホワイトハウスは「イスラム人に危害を加えてはいけない」と発言した。死者が出た今、遅きに失した感がある。憎むべきはテロリストでありイスラム教徒ではない、その当たり前のことをきちんと国民が自覚しなければ、例え戦争に勝利してもアメリカは亡国となるだろう。自らの国のアイデンティティを否定してしまうのだから。

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2001年9月20日 日本の進む道

首相、対米支援策を発表・後方支援など7項目
 小泉純一郎首相は19日夜、首相官邸で記者会見し、米同時テロへの日本政府の対応策を発表した。(1)米軍が報復攻撃に踏み切った場合、自衛隊による医療、輸送・補給などの後方支援を可能にするための早急な法整備(2)情報収集のための自衛隊艦艇のインド洋への早急な派遣(3)インドとパキスタンへの緊急経済支援の実施――など7項目。後方支援の法整備は、時限法か特例法の新規立法とする方針で、27日召集の臨時国会で成立させる方針だ。

NIKKEI NETより抜粋>

 今回の決定に関して、首相はそれなりのリーダーシップを発揮したという評価は出来る。逆に、公明党、社民党、共産党など、有事の際の日本のアクションについてただ闇雲に『反対!』とだけ念仏のように唱えて具体的な議論をさせまいとしてきたヤツらは、これ以上足を引っ張るのはやめて欲しい。

 もっとも、やはりこの決定がアメリカとNATO諸大国に引っ張られての、日本の独自性がほとんど出ていないのも事実で、それは残念だと思う。特に『軍事支援』に関しては、フランスなどですら「状況を見て」と慎重な姿勢を示しているのに、日本がいち早く『軍事支援』という必要は無かっただろう。

 Nステの久米宏が「信念があれば良い。日本はこういう憲法を持っているのだから、軍隊は出さない。その代わりお金は出す。ときちんと信念を持っていれば、例えまた湾岸戦争のときのように馬鹿にされても、50年後、自分たちの決定が正しかったことが分かる。アタフタして決めるのが一番よくない」と言っていたのには禿しく同意。対して同番組のコメンテーター清水建宇は「信念があっても、この間の靖国問題のようなことになってしまう。また、自衛隊の出動については、4年前に内閣法制局で憲法違反とされていた『第三国の戦闘のための情報収拾』を、トップ数人だけでこんな短時間で合憲の方向に決めて良いのか」というコメントは愚鈍。信念無き政治家にも外交にも魅力は無い。日本以外の全ての国を見れば、そこには必ず信念、国としてのアイデンティティを持っていることがよく分かる。また、後半の発言も、結局いつもは官僚の前例踏襲を批判しておきながら、こういう時だけ前例踏襲主義に陥っていることに気付いているのか???

 結局のところ、日本は全てが遅すぎたのだ。

 議論も遅すぎた。シミュレートも遅すぎた。今回の決定も遅すぎただろう。そもそも、自国及び近隣諸国、同盟国のありとあらゆる危急時のシミュレーションをして、それに対するリアクションを決めておくことを怠った。これは、先に上げた人々の妨害と、それに流されて先送りをしてきた歴代政権と、両方の責任だ。アタフタするだけの対応しかし得ていない今回、日本は再び国辱を味わうことになりそうな気がする。ならばせめて、今度こそはきちんとした教訓を受け止めて、この国のあり方について真剣な議論を交わすべきだろう。

 ところで、そもそも日本は、アメリカに対する武力行使があり、それに対しアメリカが戦争状態に入ったとき、安保条約などによって協力する義務はあるんだろうか? これについては、次のような解説がある。

@各締約国〔日本と米国)は,日本国の施設のもとにある施政の下にある領域における、いずれか1方に対する武力攻撃が,自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。【日米安保条約より(※引用者註)】

[コメント]このように日米安保条約では、アメリカ領土で行われた武力攻撃に関しては、日本の戦力行使を義務づけていない。しかしNATO条約では、どこかの締約国が武力攻撃された場合、自国が武力攻撃されたもとして、共同で軍事行動を起こすことを義務付けられている。

J-rcomより抜粋>

 このように、日本はそもそも軍事支援の義務は無い。それにアメリカも、特に親日派、知日派の多いブッシュ政権の高官は、日本の憲法のことはよく分かっているはずだ(自分たちが押し付けたものであることも)。日本は日本の信念を持って、日本の外交を貫けば良いのだ。それこそ、久米宏氏の言うことも、その一つの形だろう。問題はそこに、きちんと世界に説明できる国としてのアイデンティティがあるかどうか、である。

 ワシの考える今回の理想的な日本の出来る貢献は以前書いたとおりだ。もちろん、それを実現させるための準備も実績も外交のコネも、日本には無さそうだが。。。そのための外交努力はする価値があると思う。

 アメリカは日本の同盟国である。日本にとって唯一の同盟国である。だが、アメリカの同盟国であることは、アメリカの政策に追随することを意味しない

 メディアの決めつける、アメリカの決めつける勧善懲悪の論理に乗ってしまったら、日本人が日本人である理由、個人が個人である理由が無くなってしまう。

 日本という国も、それを構成する個人個人も、自らの因って立つところをきちんと見据えておかなければいけない。

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